外国での暮らし 経験

les saisons

06/02/2007

季節というのが
確実に
確実に
移り変わって
水無月

一年前
靭公園を毎日通り抜けていた私は
たぶん幸せだったのだ
西本町の薄暗い交差点の上の
歩道橋の上で
わたしはたぶん
しあわせだったのだ
そのあと
実家にに帰った私は
ほっとこころを落ち着かせて
やっぱり久屋大通りの
裏っ側に気づいたら戻っていて
ほんの少しの夏を迎えると同時に
八王子のあたりの森の中に逃げて
そう繰り返し走って
日が落ちきるまで走って
穏やかで
何かが始まる前の
奇妙に静かなときを過ごし
神様に洗礼の儀式を行ってもらうかのように
今での全てをリセットすべく
ぽっかりと穴のあいた時空の中に居て
そして
近所のSEIYUに行くのと同じように
さてと と重い腰をよっこらせと上げて
誰にも言わずに降り立ったはヒースロー空港
ひとりひたすら電車を待って
黙って知らない土地の音に耳を傾けて
目を覚ましたときには
囲まれたアルプスの山が
こんなにも美しいんだと素直に思った
日差しが強すぎて
目が開けられなかった毎日から
足が冷たくて
マフラーをぐるぐるに巻いて
通ったカラフルな温水プール
そしてその間惹かれたのはジュネーブで
国際都市みたいな大きいよな
とってもこじんまりしたその町に
いつか住もうと思っていて
それからたくさん美しい感情を知って
たまたま帰りに寄った上海に
何の因果か今

ここに。

 

たったの1年
たった
4つしか季節を跨いでいないのに

なにか
色々な
多くのことが変わって
多くのことを知って

1年前の
どろどろ汚れたあのときの自分よりは

すこしは
白や透明な色に
近づいているんだろうな

 

一年前に仕事を辞めて
平日に着物なんて着ながら
御堂筋辺りのカフェをぶらぶらしていたあの頃から

よくなってんだか不細工なんだか
分からないけれど

たぶん
明らかに自分に
嘘はつけなくなっているという意味では

すこしづつは

 

日本のような
美しく縁取りのある季節は
ここにはないけれど

 

自ら
イー、あー、さんーすーと
指折り数えて確かめて

また
必要なことを拾ってゆくことにしよう

 

次にまた
変化を感じられるときまで。

 

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