季節というのが
確実に
確実に
移り変わって
水無月
一年前
靭公園を毎日通り抜けていた私は
たぶん幸せだったのだ
西本町の薄暗い交差点の上の
歩道橋の上で
わたしはたぶん
しあわせだったのだ
そのあと
実家にに帰った私は
ほっとこころを落ち着かせて
やっぱり久屋大通りの
裏っ側に気づいたら戻っていて
ほんの少しの夏を迎えると同時に
八王子のあたりの森の中に逃げて
そう繰り返し走って
日が落ちきるまで走って
穏やかで
何かが始まる前の
奇妙に静かなときを過ごし
神様に洗礼の儀式を行ってもらうかのように
今での全てをリセットすべく
ぽっかりと穴のあいた時空の中に居て
そして
近所のSEIYUに行くのと同じように
さてと と重い腰をよっこらせと上げて
誰にも言わずに降り立ったはヒースロー空港
ひとりひたすら電車を待って
黙って知らない土地の音に耳を傾けて
目を覚ましたときには
囲まれたアルプスの山が
こんなにも美しいんだと素直に思った
日差しが強すぎて
目が開けられなかった毎日から
足が冷たくて
マフラーをぐるぐるに巻いて
通ったカラフルな温水プール
そしてその間惹かれたのはジュネーブで
国際都市みたいな大きいよな
とってもこじんまりしたその町に
いつか住もうと思っていて
それからたくさん美しい感情を知って
たまたま帰りに寄った上海に
何の因果か今
ここに。
たったの1年
たった
4つしか季節を跨いでいないのに
なにか
色々な
多くのことが変わって
多くのことを知って
1年前の
どろどろ汚れたあのときの自分よりは
すこしは
白や透明な色に
近づいているんだろうな
一年前に仕事を辞めて
平日に着物なんて着ながら
御堂筋辺りのカフェをぶらぶらしていたあの頃から
よくなってんだか不細工なんだか
分からないけれど
たぶん
明らかに自分に
嘘はつけなくなっているという意味では
すこしづつは
日本のような
美しく縁取りのある季節は
ここにはないけれど
自ら
イー、あー、さんーすーと
指折り数えて確かめて
また
必要なことを拾ってゆくことにしよう
次にまた
変化を感じられるときまで。