中国?もううんざり。
ありえない。
なし。
好きかって?愚問を。
嫌いかすきかとか
許せないとかゆるすとか
辛いだけかたのしいか
すべては
自分のこころ次第で
歩けば怒鳴られ轢かれる寸前の毎日も
無愛想な警備員や店員の態度も
自分が変われば全てが変わるということだ。
待ち行く全員に笑いかけてみたら
いままで
いかに自分が心を閉ざしきっていたかがびっくりするほどわかった
店に入るたびに
パーソナルスペースという概念が存在しないことに
苛苛しっぱなし「見てるだけです」と答えていたのを
笑って「見てるだけだよ」に変えてみる
行きも帰りも
警備員のおじさんに笑い
マンションの玄関のおばちゃんに挨拶し
エレベータで会う人にも必ず
散歩中の犬にまで「ニーハオ」と言ってみる
引越し先は、いままでよりもっと上海の真ん中
上海のメイン観光地 新天地も豫園も歩いていける場所だった
わたしのここにくるきっかけとなったひとつ
上海のその面白いところそれは
見ていて痛々しいほどに
焦り急速に発展を遂げていく高層ビルたちと
その真横で何百年と続けて営まれ続けてきたであろう
現地の人々のごくごく当たり前の日常
かけ離れたその二つの両極端が
隣り合わせに存在しているところだ。
マンションの28階からエレベータで降りて
すぐ一本裏に入れば
人々が
迸るようなエネルギーで強かに生きる
ただ生きる
ドローカルだった
はじめての週末なんどか外を歩いてみた
いままで恐れて踏み入れなかった場所
当たり前に現地の人たちが生活している場所
綺麗に整えられた環境で生活することが当たり前になっている
わたしたちにとって下手をすると別世界
何だか決して踏み入れてはいけない気がして
見てはいけないものが多すぎる気がして
そして
そうやって感じている自分の心に
常に蓋をしていることにもいままで気づかずにいて
10分歩けばナショナルブランドが立ち並ぶ百貨店
買い物にも食べ物にも何も困ることはない
疲れたらいつでもそこに行けば日本と何ら変わらないものがある
それを今回逆方向に歩き
細い裏路地のその奥のほうへ
用事なんてあるはずがなかった場所へ
ゆっくりと心を無にして歩いた
いつ何時恐ろしい状況に出くわすかと
どきどきしながら何食わぬ顔をしてお邪魔する
人々が生活をするただその当たり前すぎる場所を歩くだけなのに
どうしてこんなにも後ろめたいのかと改めておもう
そして
そこにあったそれは
申し訳ないほどに
穏やかで
ただ
ただ当たり前に営まれる毎日と
当たり前に存在するきらきらした「生」
それだけだった。
周りを見渡しても
ベージュピンクのトレンチコートなんて着ているのは
わたしだけで
驚くほどに静かで、今にも壊れてしまいそうな古い家々の間を
一歩一歩抜けるその時間は
また
わたしに大事な何かをそっと手渡してくれた。
こっちに来てからわたしは両極端の
その新しい方ばかりに気が取られていて
今のこのバブルな時期に来たからこそ
しようと思えば何一つ不便のない暮らしだって出来て
現地の人の生活なんて知らないままだって良かったわけで
100円くらいで食べられる定食だって
「汚い」で済ますことだってできたんだ
何のタイミングか
無理やりにでも、色んなものを無くしてでも引越しをして
本当に良かったと思った。
何を期待して引っ越したわけでもなく
ただ、ただひたすら前の場所から何となく
ただ逃げ出したかっただけだったけれど
こうして
新しい場所で気づくことは多すぎて
また感謝の日々が幕を開ける
昼間から一切働く気のないおじさんたちも
鬼みたいな顔して叫ぶおばちゃんたちにも
そこには必ずストーリーは存在して
自分たちが培ってきただろうその小さな歴史は
化学物質の匂いがぷんぷんする建物に
いやおう無く次々に姿を変えてゆくんだろう
それをわたしみたいな人間がこうして懸念し
あれこれ思いを馳せることすら
失礼で馬鹿馬鹿しいほどに
きっと彼らは大らかに笑い手を広げ受け入れる
繊細のかけらもないその性質にはもう
負けを認めざるを得ない。
強い。
彼らのことをどれほど理解して
どれほど受け入れ仲良くなったとしても
じゃあ毎日同じ部屋に住めと言われたら無理で
毎日同じものを食べろと言われたら
わたしはごめんなさいと謝るしかできないだろう。
それでも。
一緒に汚い空気を吸ってさ、
タバコをふかす臭いおじさんの横で
二人分くらい距離をとって腰掛け
「おじちゃん歯磨きなよ」とか言いながら
天気のいいひの隙間に見えた青い空を
共有できたら
もうそれだけで
この国が最高に思えてくる。
ヤフーのトップに
「夏目前!2週間で3キロ落とす!話題のブートキャンプ!」
こんな広告が出ているようじゃ
やっぱりわたし達の国って何て暇で平和なんだろう
そう思わずにはいられない。
生きるちから。
生きたいと願うちから。
ただそれだけで
この町は息づいている。
上海に来て3ヶ月。
この約100日間の間で一体90何日くらい
「何でここにいるんだろう」と頭を抱えた。
それでも残りの何日か心の底から感じている。
「ここに来て本当に間違っていなかった。」
さあ
どんどん変わってゆくだろうこの町に
負けないくらい変わってゆけるかな
楽しみにね
この際スピードに乗って。
引越し直前もうくたくたぼろぼろだった時
ふと聞かれた質問
「マイ、上海は好き?」
もちろんこう答えたさ。
「I love here,and I hate here.」
きっと
変わることはない。そこが上海のいいところで。
わたしが見る、上海。