いのち 外国での暮らし 経験

子猫

07/05/2007

手のひらに乗るほどの子猫
小さくてまだ生まれて何日もたっていないだろう子猫

 

フアイハイルーと
シーザンルーの

おおきいおおきい交差点の脇に続く
その歩道のど真ん中

 

わたしの手のひらと同じくらいの
ちいさなちいさな子猫

 

 

びしょぬれに濡れて
まるくうずくまって
その小さな顔がみえない

 

高いヒールの
くるぶしで結ぶ紐が解けてわたしは

その子猫のとなりにしゃがみこんで

結びなおす

 

じっと顔をあげるのを待って
紐を結び終えたけれど待って
信号が二回変わったけど待って
小さな首が持ち上がるのを待って

 

かすかに動いたか
それとも気のせいだったかわたしはそれを見て

 

わたしは立ち上がった。

 

 

家の近くに生き物を扱う市場がある

びしょびしょになって
足を引きずって身動きもとれなくて
道路の真ん中にいる小さな動物たちを
こうして何度か目にした

 

生と命について
そこにあるのがあたりまえだと思っていた20数年間

 

それはそれは
あたりまえでもなんでもなくて
めぐりめぐるこの世界の中で
えらばれこの世に受けたたったひとつの命

 

そのとき
わたしには

隣で
並んでしゃがみこんで
信号のまえでじっと息を止めて
顔をあげるのを待つことしか

 

手を差し出して
そのちいさな命にほんの少し
触れることすら

できなくて

 

 

唇をぎゅっとむすんで歩いた
絶対に

幸せにならなくてはと思った

 

めいっぱい生きてそして感謝し
おおげさなのかもしれないけれど
それでも

こうしてこの体に入りそして
また繰り返しめぐってゆく命たちに
もっともっと
感謝をし生かしてもらう

 

 

わたしは

 

絶対にあきらめない。

忍耐力もなくて飽きっぽくて
すぐにあきらめてしまいがちの私だけれど

 

ひとつだけ

ただ

「生きる」こと

 

それだけは
どんな不幸に見舞われたとしても

 

死んでもあきらめない。

 

それが
わたしに

 

できること。

 

 

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