頑張ったって正しい方向へ行かないこともある。
でも、私はこれでもかっていうほど
パーフェクトな行動をとったと思う。
それでも起きた最悪の事態は
心から「仕方がない」って思えるから
「ベストを尽くす」ってありきたりな言葉だけれど
結構あなどれないっていうかそこに集約されているっていうか
その話を一緒にしたのはNYでまず私を迎えてくれた彼女
最悪の結果を報告した瞬間に
私を救い上げてくれた
欲しくても誰もくれなかった言葉をあなたは吐いて
二言三言励ますように何かをいった最後
「ひとりでがんばんなくてもいいからさ」って
日本人からも言われた事がないのに
日本語でもらった
とてもシンプルでありふれていそうな言葉
それでも強がってばかりのわたしには縁遠い言葉
それはひとりのわたしが
いつでもひとりのわたしに
自分で自分を癒すことのなかで
唯一かけることができない言葉
唯一自分では不可能なことだった
ひとりでがんばってたわけじゃない
たくさんのひとに守られて支えられてきただけで
それでも
誰かにそういって欲しかったんだ。
私はベストを尽くしたから
だから後悔なんてひとつもないよ。
たとえそれが最悪の結果だとしても。
彼女のおかげで今夜くらいは泣こうと思っても
そういう時はなかなか涙もでない
突然イスラエルにいるはずの恋人からの電話
今NYにいるって会いに行くって電話
失神しそうになりながら混乱の時間を経て
数ヶ月ぶりに見る本物は
どうしてもかすんで見えてしまうほどで
嬉しくて会うなり道で泣き出した私
食事をしながらじっと顔を見つめ合って
わたしはうつむいて彼の手を握った
ぶつけようにもどうしよもない二人の気持だけが
気持悪いくらいに流れて
私たちは祈り合うようにしてレストランのテーブルで
手を強く握り合って何もしゃべらずに下を向いたままでいた
色んな事をもう諦めていた
そんな矢先のサプライズは私に何かたくさんのことを
短い間で電光掲示板みたいに伝えていって
奇跡が続いて
数時間後には思いも寄らぬ展開へ
いつも通りギターと汚いバックパックと
私のマフラーを巻いて片手にゆりの花
私のことが好きそうだった
私は彼のことが好きだった
何を望んでいたわけでもなさそうだった
わたしもおなじだったはずだった
それでもうまく行かないことは
わたしには何も出来ないから
一時間
二時間
三時間たって
ものすごい変なタイミング
ゆりの花の香りが鼻先をつんと刺して痛い
時間差で叫び声みたいな泣き声が聞こえた。