朝地下鉄の駅から外へぴょこっと顔をだすと
そこにはびゅんと肌に当たる北風と
高くどこまでも続いてゆく青空
汚いマンハッタンの街角を包込むそれは
奇跡みたいな
優しさで
陽が傾きぼんやり薄暗い中1日を満喫しおわったら
来た通りに地下鉄に乗り込みそして外へよっこら顔をだすと
そこにはもう一足早い太陽は居なくなって代わりに
ぐっと深い深い藍色が充満して
もっと汚いブルックリンの街角を包込むそれは
それはまるごと私をさらって
月の上までお届け
しつこいようだけれど
ニューヨークに興味をもったことなど
うまれてこのかた一度もなかったわたし
ふらりふらり流されて辿り着いたその場所は
なるほど皆が口を揃えて言うように
結局のところ
面白い
場所だったのだ
今日は初めて私の口からはっきりとその言葉が出て
意地を張り続けてきた好きな男の子に
遂にぽろり気持を打ち明けてしまった時のように
台本も何も用意してこなかったわたしのその言葉はいかにも月並みで
ほんの少しのひねりもなくて本当に残念
ただひとついえることは
まっすぐに
あふれる想いで私の瞳はきっと
うるうるしていたに違いないのだけれど。
「大好きですね、ニューヨークが。」
嗚呼、遂にそんな言葉を口にしてしまった。
そんなわけはなかったはずなのに。