ジャパン 経験

年の差をこえて

12/13/2008

わたしはいま、

家から徒歩1分の老人ホームではたらいている。

 

 

わたしは今とても恋をしていて
気になって気になって夢にまで見るひとがいて
そのひとは洋太郎さんという

 

洋太郎さんはだだっ広い敷地に草がぼーぼーと生えた
古くて大きな家にひとりで住んでいて
「ようたろうさーん」と朝迎えにいくと
「いいいいいいいいいまいきますー」と言っていつでも裸足で出てくる

おうちの電話番号を忘れてしまったのが気になって
家の鍵をなくして家にはいれないかどうかが心配で
毎日毎日そればかり訊いてくる

 

わたしは色々しらなかったが

老人ホームには色々あって
わたしが働いてるとこは日中老人達が集い体操をしたり風呂に入ったりするのだが
病院みたいに泊まれるところやホテルみたいに一泊だけできるとことかもあるらしい

老人たちはその色々なとこに行ったり家族の都合で変更したり
わたしの働く老人ホームに毎日きたり

週一回きたり、色々なのだ

 

そして洋太郎さんは毎日来ていた

わたしがすこしシゴトに慣れて彼に恋に落ち始めた頃
病院みたいに泊まれるところに行く事になってお別れとなった

最後の日に見送るとき私は「またね」と言った

 

会えなくなってしばらくして私は洋太郎さんの夢を見て
こっそり会いにいってはだめだろうかと思い始めた頃

またうちに戻ってくることになって

わたしは、

よろこんだ。

 

 

眉毛がさがっててちょっと鼻が赤い洋太郎さんは
いつも悲しそうで家に帰りたそうで

寂しそうだけれど
じっと顔を見てわたしが笑うと次第に嬉しそうにはにかむようになった

 

洋太郎さんにまた毎日会えるようになってわたしは
一生懸命彼に恋をしている。

利用者の老人たちは皆純粋で
わたしはかれらから多すぎるほどのことを学ぶ

どのひとも次第に家族みたいに思えて来て大切におもう
だから洋太郎さんだけに特別にするのはいけないので
恋をしていることは、内緒だ。

 

 

洋太郎さんは、好きな食べ物は何でもよくて、
好きな色は、んなもん何色でもよくて、
何歳か訊いたら

「そんなもん覚えてないもん
たぶんななななあななななじゅうだいだとはおもうけど」と言う

でも大正生まれだからおそらく80は軽く超えてるけど

ほいでもって若い時はなにが好きだったのかというとスポーツも趣味もなく
数を数えることだけが好きで、

ほいでもって
たぶん私のことが好きになりかけているだろう。

 

毎日じいさんばあさんのお風呂の介助をする。

きのうは洋太郎さんは

「だって風呂いいいいいいいいいいいやだもん
ははははっはははいりたくないもん」といって入らなかったので
今日担当になったわたしは丁寧にいつもの倍時間かけて身体を洗った。
「しししししんせつだねえ」と言うから
耳打ちでこっそり

「他のひとにはしないから内緒だよ
わたし洋太郎さんのことが好きだもん。」

と言った。

 

日々。

 

わたしは恋をして、

季節の移り変わりを

嗅ぐ。

 

 

 

 

 

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