いのち 外国での暮らし

ゆるい病院とか

04/03/2009

まあまあ調子がすぐれない中
保険会社の紹介で皮膚科にかかったら
一年前にかかった病院と同じだった
ものすごい気に入ってたのでよく覚えてるのだー

うけつけでお姉さんに色々説明をしてる向こう側で
ダラーっと白衣を半分着て新聞をよむ初老武田浩一
名前は今日知ったけど

一年前に行った時
武田浩一は言った
「あのねえ、お風呂はいっちゃだめだよ、こっっちは乾燥してんだからね、
身体洗うのなんて石けんつかっちゃだめだぁよ。シャワーも3日に一回でいいよ。
シャンブーなんてね、一週間に一回にしときなさいね」
と言われて衝撃を受けてお気に入りとなった

 

早速見てもらい症状など説明をしていると
「あっちょっとっ突然急におなかが痛くなっちゃったから待ってて」
といきなり消える浩一
そのフレーズがあまりにうさんくさくて芝居の下手な仮病人みたいな台詞
更に気にいりました
可愛すぎます
ほんとに突然なんだもん

今日も浩一は色々説明をしてああだのこうだの言っていましたが
診察の途中
浩一の体調のほうが悪そう….
「先生おなかいたいの?大丈夫?お大事にしてね」と思わず言うと
「そうーそうなんだよねーなんだかねー」

 

「先生一年前に別ので薬もらってるんだけど、なくなりそうなので
もしよかったらついでに今日同じのもらえますか?」
「あーいいよあげるあげる」棚をがさごそ探す浩一

「先生これ箱が緑色だけど使ってるの橙色なんだけど…」
「あー同じおなじ、

いろんな色があるんだよ。」

 

いろんな色がある?
なにそれ….てきとうだな。
ともかくそれをもらい次回の予約をしてる脇で早速浩一は
カラフルなレインコートに着替えてどこかへ消えてゆきましたとさ

また浩一に会えるの楽しみだなあ
nyは雨のち晴

 

 

 

 

 

2017-2-20追記

そういえばそのずっとあと、わたしがまだニューヨークにいる間に
どこかの風の噂か病院に行った時に

武田先生が亡くなられたことを知った。

 

わたしがNYの人との距離感を愛してやまなくて、先生のことをそんな風にいじって
体調が悪い先生のゆるさを笑っている間にも

きっと深刻な病気は進行していたのだ。

 

それを知ったとき、わたしは笑った自分を恥じた。

ただでさえ外国暮らしは刹那の連続で

人が行き交うなかで生と死や始まりと終わりを常に
喉元に刃物をつきつけられるようにして

過ごしていた。

 

 

 

あしたには、大事なものはたぶん

あっというまに消えてなくなる。

 

 

わたしがその一瞬、短い時間の一期一会を
心ゆくまでいとおしんだことだけが

確かに自分のなかに、息づいている。

 

 

武田先生のご冥福を
改めて深くお祈りします。

 

 

 

 

 

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