二度と、同じ自分には会えないのだ。
なにかに触れた後の自分は、その感触を覚えた時点で前の自分とは違う。
だれかと話した後の自分は、
どこかへ訪れた後の自分は、
決して、その前の自分とは別の細胞にて成り立ってゆく。
だから、5分後の自分や、ましてや眠った後の明日の自分など、
同じようにみえてまったく新しい、
そう、二度と、同じ自分に会うことはない。
ひたすら新しく、触れるもの感じるもの全てと化学反応を起こしながら
日々閃光の迷路の中でパチンパチンと音を立てながら
今日もわたしは生まれ変わり続けている。
外が、静かで、一見が何もないように見えるときほど、
内側はずっと、蠢き続けていて
またゴトっと音をたてて何かが壊れたり新たな一筋の光になぎ倒されるまで、
わたしは、数えきれぬ刺激の中で細胞分裂を繰り返して
一秒一秒別の新しい感覚を覚えてゆくのだ
全ては、幻。この人生も、私の存在自体も。
後ろを振り返ることに、意味はない。
ならば、何もかも幻想的でロマンチックに彩りたい。
わたしはそう、人間の形をした、
ただの宇宙で、
エネルギー。