さえちゃんは言った。
”まいちゃん、マラソンで、一番苦しいのは、どのパートかわかる?”
2月の末に、28歳になった。
そして、わたしは、ついに、新しいシーズンへと進みだした。
長い長い長い間その一歩を踏み出すのが怖くて
必死でしがみついていた。
変わるのが怖くて春の光を浴びるくらいならば、
一生真冬の中にいたかった。
何年もの間、わからずにいて、でも解く方法も知らないし、
誰にきいたらいいのかすらわからなくて、ただひたすらもがいた。
わたしは、そして、仕事を辞めました。
そして、その恋人と一緒にいません。
それは、そのとき、とても悲しいことであって、
大切に大切にしていたからこそ、手を離すことは絶対にできないとおもっていて、
そしてもがき苦しんだのです。
もつれた糸とほどくため、わたしは、遂に、
踏み出すことになりました。
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小さい頃の記憶をたぐり寄せ、そして今をもっと浄化してゆく作業を始め、
そして私が選んだ次のステージ。
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マラソンで、最も辛い部分は、
スタートを切る、その前だそうだ。
わたしは、走りだした。
走りだしてすぐに、自分の生まれ育った国で
歴史的な出来事が起こり、世界は混乱した。
それでも
いま私を囲む爽やかな風は、すこし遠い場所できらきらしている。
これから私はもっと、自分の人生をいとおしいと思うようになりそして
もっと愛することができるようになるのだ。
まだまだ混乱の続く被災地へ
引き続き祈りを捧げながら
新しい季節へ
破壊は
誕生を意味する
だから壊れた規模が大きければ大きいほど
新たに産まれるものは果てしなく
失ったものが多ければ多いほど
その無の空間に入り込むギフトは無限
春が始まるこの今に
大きく手を広げて受けとる準備を
keep praying.