光のことに関していえば、先日の写真でもわかるように
わたしはこうやって真っ正面からおもいきり向かって
ざばーんと飛び込むのが好きなんだろうとおもう。
そのまま閃光のなかに融けてひとつになる感覚に溺れる春の先端。
ふわりと青空で覆われた短いある1日に
突如姿を現したあふれんばかりの巨大な淡紅の集合体
この地には段々としたなだらかな季節の移り変わりなど存在しないので、
わたしはこころの準備が出来ていたはずもなく、
いつもの帰り道がいきなりそんなカラフルになっていたときの衝撃と言えば
昔テレビが白黒からカラーに変わったときと同じようなもんだ
ただただ圧倒されたまま強いマグノリアの香りと光のなかで
首をもたげたまましばらく身動きがとれなくなるのだった
木蓮というこの花たちは
素直に華やかで美しいには違いなかったが
こんな風に自然の法則に沿ったような
または正々堂々と逆らったかのように
整列して同じ向きに一斉に花を咲かせている様子はとても頑なで
わたしはその潔さのなかに奇妙ささえ覚えた
地球上で最古の花木ともいわれている木蓮
一億年以上前から今と同じ姿をしていたらしい
わたしはそれを聞いて、彼らの意図がよくわかったような気がした
南からの強いその春の光を受けて
蕾の先は揃って北を向く
あっというまに思い切り大きく花開き
あっともいわないまに散ってゆく
その頑なな真実こそが地球上の全ての命を
太古の昔から魅了し続けてきた所以であって
彼らが守り続けてきた姿は宇宙のなかで最も美しいもののひとつだった
わたしはまたひとつ
ある花木の生き方からとても大切なことを学び
また歩き出す
大声で歌をうたい
前のめりに小走りで額に風を受けて
そしてその美しさに涙するのだ
賑やかで豪華で光に満ちて鮮やかな
鈴やら鳥の声やら何か金管楽器のような音たちが
わたしの世界のなかで
ずっと
鳴り響いている。