わたしはもしかしたら、
生まれ落ちたその瞬間から
世界に対して幻滅していたし、
小さいころから他人にも自分自身にも失望しつづけて
なにもかもを軽蔑しているに違いなかった
だからこそ
誠実とか純粋とか
つまりは正反対の方向に光を見いだしたくて
脇目も振らずにそっちばかりを磨こうとしていたけれど
皮肉にもそれは
世界の俗悪で歪んだ醜い姿を より目につかせるように
鍛えただけだったのかもしれない
ひとまわりして おもう
聖人のふりをしながら じぶんを含めた 世界を見下し
嫌悪していることを
隠し続けている自分は よっぽど汚くて
”誠実”という言葉を語る資格もないんだろうと
おもう
なにもかもは
紙一重で
背中合わせに
息づいている
それだけは
確かに言える
たいふうを待つ
その空のしたにて。