丸ごと 街ごと あっとも言わぬ間に 枯れゆく世界
わたしは 刻々と 色彩を失ってゆく その小宇宙の
細い割れ目に沿って 今日もかろうじて 息をしながら 歩いている
瞬く間に 締めくくろうとしている 神無月は
わたしを 置き去りにしようと もくろんでいるのか 果たして
無事にその スピードに ついてゆき
今年を無事 結ぶことが出来るのか
早早に その年末に向かう透明な入り口にて
わたしは孤高な緊迫感を感じ始めていた
一年前と比べ わたしは確実に
自分の人生に毅然として向き合うようになっている
もう 一切ごまかすことはやめて
いいことにもわるいことにも 真っ向から立ち向かうということは
確かに一見 勇気を必要とするが
すると じきに やってくる その清々しい静謐
それを一度 感じてしまうと もう 乗り越えられぬことは
きっと存在しないのだとそんな風に思わせてくれる
事象は 破壊と創造の 繰り返しだという
そのあっさりした原理を 心に留めておくと
多くのことは じっと腰掛けていても 受け止められるようになる
このたび一度 訪れた混乱は まさに 一旦秩序を失った世界を
新しい材料を加えて 再構築するための必要な過程に過ぎなかった
彼に 出会って6週間が経ったとき
わたしはようやく その飲み込まれ続けていた渦のなかから
顔をだし 混沌とした精神を 平たく均すことに成功した
それには時間が必要だったが
熱の冷めやらぬ 支離滅裂な日々は
徐々に 私の元々過ごしていた日常に融け込んでいった
数週間前に ”その日は空けておいて”と言われていた10月22日は
ちょうど彼の恋人になった日から数えて一ヶ月だった
わたしたちは、たくさんの話をし続けた
そして二人の呼吸は
最初よりも もっと ぴったり合うようになってゆく
これから共に歩いてゆくために最初はきっと肝心で
小さな山を 越えた私は また新たな気持ちで
足を運ぶ 準備を整えそして冒頭の
季節ならではの 澄みきった 緊張めざして
向かってゆく