この日本での夏は、長い長い夏だった。
わたしにはやはり、生活がなによりなにより一番で、
ニューヨークに戻る前の最後の数日
ひとりの時間をかみしめるように過ごす中
叔母から譲ってもらったサツマイモを オーブンでじっくり焼いて
丁寧に裏ごしをして そしてスイートポテトにして
天板に並べたのを眺めながら
「ああ、ほんとうに、お菓子を焼くのは何より無心になれる、だから、好きだ。」
と体全体で喜びを味わった。
わたしには、生活がある限り、どこにいても生きてゆける気がする。
”少しの野菜とくだものと、そしてハグとキスがあればそれでいい、
わたしの人生。”