外国での暮らし

かんざし

04/22/2013

また、マグノリアが一斉に天へ向かって花開いています。

昨年は、この時期すでに、台湾という小さな島へ
春を飛ばして真夏のような日々へジャンプしたので
ニューヨークのその懐かしい、爽やかすぎる太陽のひかりは
丸々2年前、あの明るくて小さなブルックリンのアパートで
ひとり気ままに歌いながら暮らしていた記憶の断片へ
わたしをピューッと勢いよく連れていってくれるようでした

髪が ようやく伸びてきて
いつの日か 胸まで隠れる長さの髪を保っていたその時期へ
ちかづいてゆきます

今日 うららかなその午後
クイーンズのフラッシング

チャイナタウンの 日曜日に人がざわざわと行き交う
汚い道ばたに布を広げた車いすの老人が、
どこからかかき集めてきたガラクタを売っています

中国で1元とかで売っているみたいなキーホルダーとか
嘘くさい大きな宝石のついた指輪がわんさか並べられていて
その中で
先っぽにゆらゆらと揺れるシンプルな銀の飾りが垂れ下がって
透明の中に緑いろがにじむ玉がついた 一本のかんざしを見たとき

ああ、そのある時期わたしは、
確かに呼吸をしていて、髪が胸のあたりまで長く
そしてフランス語を喋り
その長くて黒いつやつやした髪を
一本のかんざしで
いつも留めていたことを
思い出しました

人生は面白いものですね
何が起ころうとも
内が澄んで静けさに満ちていると
不思議と取り巻く世界が美しく整ってくるのです

今はそんな時期
享受 + ing

1ドルと汚い字で書かれたガラクタの山から
二頭身のキツネがついたストラップを掘り起こし
相かわらず研究熱心な恋人へ

そして3ドルともっと汚い字で書かれた小さな箱のなかでひしめく
安っぽいかんざしの中から
今の自分の清々しい精神にピッタリな色の
その薄いグリーンの玉がついたヤツを握りしめ
老人にしわくちゃの1ドル札を4枚手渡し
わたしは颯爽と家路につくのでした

あの頃にはまだ届かない長さの髪は
しっかりと一本のかんざしにまとまって
背筋が伸びるきもちです

3ヶ月後のことや
3年前のこと

それが幻想だということを
”今”この瞬間に
学び続けます

 

What a beautiful day.

 

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