わたしは、平気なわけはなくて、
どうして、大好きなひとと、
お別れをすることが、平気であるものか。
もう、さんざん、さんざん、さんざん涙を流して、
さんざん、さんざん、さんざん、苦しんだのに、
こんな、おもいをし続けることは、もうこれいじょうは続けられないと、
そうして、ちゃんと、幸せになることを
選択しようとふたりで話して、
ちゃんと、やさしくして、
そうしてわたしは前をみて
自分で決めたことも、
しっかりとこの腕に抱えて
あるいてゆくことにきめたのに、
結局、
こころのじゅんびなど、
できるわけなどなかった
待てども待てども答えは来なくて、
大好きな彼は、東京から台湾へ旅立った。
わたしは、
答えを、待っている、ふりをしていただけで、
ほんとうは、
答えが、永遠にこないことを、
待っていたんだ。
彼は、優しかったから、
絶対に、優しかったから、
だからわたしは自分できめたくせに、
どこかで、まだ、わたしが彼と
つながっていられるんじゃないかと
ずるい考えを捨てられなくて
このまま
何も変わらないまま
ニューヨークにもどって
前みたいな生活が
前みたいに
ふたりで
笑ったり
抱き合ったり
そういう日が戻るのかもしれないと
そういう日が戻ってほしくて
ふたりの関係を
終わらせる覚悟をきめたのかもしれないとすらおもう
だから
ポストに
返信用封筒が
届いたとき
わたしが真逆の方向に望んでいた
その対極にあるふたつのことが
これいじょう離れて
私の身を切り裂いてゆくことをおわりにするように
最後の勧告をうけたようで
こんなに
かなしい
ことが
あるなんて
彼は日本語の流暢なうつくしいアメリカ人
とてもとても優しくて
かっこ良くて 賢くて 面白くて センスが良くて
わたしのあこがれの人で
そしてこの夏東京にきていた
今度は中国語の勉強をしに
あとはこよなく愛する中国茶を買い漁りに
そして 人々の暖かさに触れに
台湾へと旅立って
行った
わたしは この夏
いちど
彼に会っただけで
しかも お別れを 言いにいっただけで
そして
自分の夢にむかってまっすぐ突き進んでゆく彼の旅立ちから
数日遅れて
茶色い封筒は
とどいて
いた
氏名の欄に 見なれた彼の
愛おしい字で書かれた
カタカナの名の上には
ちゃんと
ひらがなで
ふりがながふってある
わたしが 彼の ミドルネームを
しったのは
つきあってから大分たってからだったな
とか
思い出していた
わたしは
いままで
文字通り数えきれないひととお別れをしてきて
そして毎回毎回泣いたけど
でもそのお別れに
書類の提出はひつようはなかったから
だからやっぱりそれは、とくべつなのだ。
それが、ビザのためだったとか、
国際カップルだったからとか、
いろいろいろいろな理由があろうとなかろうと、
わたしにとっては、愛するひととのけっこん以上でも以下でも何でもなくて、
かれの、かぞくになることだった。
わたしは、うまれてはじめてりこんをするが、
憎しみや怒りの中ですすんでゆくりこんではなくて、
こんなにもかなしいきもちになるりこんであったことが何よりもの救いで、
そうして、うまれてはじめてけっこんした相手が、
こんなにも好きになったひとであってよかったと
そう おもう。
わたしは、平気なわけはなくて、
どうして、大好きなひとと、
お別れをすることが、
平気であるものか。
世界が、優しく、
すべてをつつみこみ
いやされてゆくことを
かれが
台湾でおいしい阿里山の紅茶とか
年代物の岩茶とか
凤梨酥の食べ比べとか
去年ふたりで一緒に
ケタケタ笑いながら歩いたその道を
また
毎日愛おしみながら
全部浄化してくれるような太陽の元で
おだやかに過ごしていますように
憧れのひとから 恋人となって
わたしの 夫となってくれた
短いあいだだったけど
ほんとうに
しあわせでした
ありがとう