外国での暮らし 経験

Attachment 節目・最後の家族

08/14/2013

これから始まる次のチャプターを目の前にして、
わたしのアメリカでの生活の皮切りとなった場所バーモントにて
最後の日々を、当時を辿るようにして過ごしている。

あのときスリングの中ですやすやと眠っていた生後6ヶ月のテルーラは、
もう小学校へ通う大きいお姉さんで、泥だらけで乱暴な兄と弟の間で
二人よりもずっともっと野性的に
今もかわらず掘りたてのにんじん片手に
文字通り裸足で野原を駆け回る

あのときひと家族とわたしが過ごしていた
冬にはいる直前の、静けさが深まってゆくその神聖で小さなキッチンは
もう今は存在しない代わりに
人々が 入れかわり立ちかわりしながら肥大化してゆくコミュニティとなって
家族に、オーガニックファームを手伝うウーファーの若者たち
そして夏にシティから帰省する兄弟姉妹で
ごった返し活気に溢れている

 

わたしはその家族をとりまくコミュニティの中で、伝統の美しさや家族の絆
自然のなかで生きるという人間の営み
人を従えていくことや 協力するということ
そして個人と社会との関わりや
理想的な子育ての方法
毎日口にする食べ物への意識改革から
キュウリの略語まで
毎日ものすごい量のことを、
学ぶ。
わたしは、未だかつてどこかの組織に属したことが一度もないが、
この場所だけは、大きくその家族の名前が書いたT-shirtsを着て
堂々と歩きたいと思えるほど、その場所を誇りに思えるのが
とても不思議だ。

 

彼らは紛れもなく私がここアメリカ合衆国で暮らすきっかけとなった家族で、
ニューヨークで暮らしてから今に至るまで、
ずっと物理的にも精神的にも
支え続けてくれた。

ニューヨークに住む姉夫婦は、いつだって何かあるごとに
私に声をかけてくれたし、

私が家族と何ら関わりのないアメリカ人と結婚したときですら、
バーモントにいつでもあそびにいらっしゃい!と声高々に祝福してくれた。

いつもその忙しい都会の真ん中で孤独に耐えられなくなったとき
いつかビザが取れる日がやってきたならば
その瞬間にこの場所へ戻ってこようと
それだけを心の支えに、
いままでやってこれたようなものだと思った。
あまりに感慨深くて
一年に一度あるかないか、この夏のほんの一時期に
たまたま家族が全員帰省し揃ったタイミングに
最後訪れられたことも、偶然ではないように思う。

 

 

わたしは今、
これからまもなく始まろうとしている世界と
そして今まで長い間愛おしんで止まなかった世界の
その間にまだ橋をかけられずに、いる。

 

 

わたしは何か全く別の今まで体験したことのない現実を手にしようと、
強欲になって選んだ決断と引き換えに、
大切に守り育ててきた宝石のような日々を、
土に埋めて一生この先見られないようにしなければいけないのだとすら
感じるのだ。

 

そこまでして、自分が何を手にいれたいのかは、
まだなにもかもが未知すぎて
心の準備ができているどころかまったく言葉で説明することもできないし、
それが正解なのかどうかも、
実のところわからない。

 

不安をかき消すために、ただ必死で自分を納得させようと企むか、
あとはもう、何もかも諦め身を委ねることで、
喜びも不安も感じぬように努めているだけで
心穏やかとはほど遠いような、それでいて静寂のなかにいるような

 


その私の経験して築き上げてきた世界がまるごと全て詰まっているような種が

 

いつかどこかで
芽を出して

 

まったく別の形となって実り
そしてその恩恵を受ける日が来たならば

 

それでようやく
全てを失った意味が

あるのだろうと

 

思うことが

いまのわたしに
唯一

出来ることだ。

 

 

”何かを手放すと、もっといいものがやってくる”

 

大きすぎるわたしのAttachment は、
それをもし跡形も無く
清算できたならば

わたしはおかげでカラの身ひとつで
ようやく

 

新しく始まるまったく別の世界のもとで
それの空白をまた

醜いものも美しいものも一緒くたにして

満たしていけるのだろう。

 

 

 

 

 

 

この後行く予定だった、カナダでの瞑想をキャンセルすることに決めたのは
ある土曜日の午後

うまれてはじめてのカヌーで川を下る そのとき
夕方落ちてゆく陽の光が
水面を覆い尽くして 目もあけられないほど眩しかった瞬間

 

こんなにも美しい情景が目の前にあって
そこで 愛する家族に守られて

わたしに他には何もいらないのだと
ただ素直に こころが深く 満たされたとき

 

未練など、どこにも存在していなかったと
ここにそこまで強く自分が属していたいと思える場所があるだけで
それだけで
これから何があろうとも
どんな場所であろうとも

自分に足りないものなどは何ひとつないのだと
いつでも帰りたいときに、
帰ってくるだけだと
そこらじゅうに散らばった砂鉄の粉が
磁石に一挙に引き寄せられるように

腑に落ちたと同時に

こころはすっと
軽くなった

 

それは本当に
物事が180度勢いよくひっくり返るとき特有の
潔さで
最後を瞑想で締めて丸ごと洗われて
次へ進もうと思っていたのが
それすら必要でなくなったという意味で
日本へ永久帰国する前に
ここへ戻ってきて
本当に正解だったと思えた瞬間

 

 

 

楽しみだとは、
おせじにも言えないこれから始まる
その第三章とも言えるチャプターへ

 

立ち向かってゆける

 

勇気を持てますように。

 

 

旅は、

終わる。

 

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