猫がプラスチックの袋をかじる音が聞こえる。
猫は、いつも、不機嫌で、
わたしのことが嫌いで、
だっこをすると、ぶふううう、ぶしゅうううと奇声を発し、
顔だろうが何だろうが容赦なしに両手でパンチをする。
猫は、寝ているときだけ優しく、
その毛のなかに顔をうずめると、ホコリと陽のひかりが混じった
懐かしい匂いがする。
ゲコッゲコッと耳にしたことがかつてない音が、机の下から聞こえる。
プラスチックをかじった猫は、ゲーゲーする。
猫は、いい。
猫は、人間用のカニカマと、しらすを贅沢好んで食べ、
カインズホームで売っている4個198円の介護食みたいなドロドロした
ピンクのエサをむさぼり、カニカマ味の猫おやつにかぶりつきすぎて、
食べた側からまたもやゲーゲーしているところを見て驚いた。
猫は、よく寝て、よく動いて、たぶん便秘がちだ。
わたしが穏やかな気持ちで彼女を見つめようが、
荒々しい不安で溢れそうなときに手を差し伸べようが、
ソファーの背もたれの上のカウンターに姿勢よく腰掛けて
ソファーに座ったわたしの頭めがけて
キレのいいパンチを 右手 左手 また右手
猫は、いい
ほんとうに、いい。
こちらが悲しかろうが嬉しかろうが、この世の終わりだと嘆いていようが、
猫は、
いつでも、
ぜったいに、こちらの機嫌をうかがう事はない
猫だからだ。
救われる、その白くてやわらかい胸毛の流れのなかにできる
均一な影に。
合掌。