眠る前にささいなことがきっかけで、パーンとなにかがはじけて、
泣きじゃくったんだけど
一瞬で台風は過ぎ去った。にがてなことを頑張っていたこの半月。
それでも、
破壊と再生を繰り返すことで、
確実にじぶんの内側が広がっているのを感じる。
もういちど、ひととゆっくり繋がり始めたのを感じる。
泣いていた息子をかわいそうなまでに強制的に眠らせて
しばらく経って落ち着いたあと
しくしく泣きながら、
「まま、怒ってごめんね たおくんなにもわるくないのに
ごめんね」
ととぼとぼ息子の部屋まで行くと
暗い部屋で
「いいよ」
としずかに言っていた。
かれのいつもの太っ腹に、
しばらく「うーうー」と突っ立って泣いていたら
「早く寝ようよ」
と言われたので
「たおくん、ままのベッドで一緒にねてくれる?」
ときいた。
「いいよ」
と言って、ふたりでてをつないで、ママの部屋のベッドで眠った。
わたしが怒りで頭がわれそうに痛かった瞬間に、
かれは、何かを求めていて
でもわたしの怒りで
かれの気持ちは無下に踏み潰されたことをしっていたので
そういうときはあとから
ちゃんと、はなしをもういちど聞くようにする。
どうしたのかきいたら、
「おじいちゃんともっとあそびたかった」
と声がふるえていた。
「しろいぱんが、たべたかった」
と声がふるえていた。
夜になったので、家にかえってきて、
ねるまえだったので、
「ぱんは明日の朝たべようね
寝る前は、しろいぱんはたべないよ」
としつこく言ったのだ。
「じゃあまたあした、おじいちゃんちにいって、遊ぼうか」
といって、
「あしたの朝、しろいぱん食べようね」
とわたしはいって、
かれはベッドの三分の二を大の字で占領して、眠った。
そのくらいは、堂々と勝ち得るくらいの権利が彼には与えられている。
◯
あさおきて
いつもはごきげんで起きるのに
悲しそうにぐずっている息子
ああ、わたしが辛くあたったことが
めずらしく響いているのかなとおもって
どうしたの?悲しい?
と訊くと
「しろいぱんが、たべたかった」
と声を震わせていた。
一緒におきて、
いつもはぜったい欲しいバナナジュースもいらないといって
いつもはぜったいほしい、ヨーグルトともいらないといって
たまごは?ときいてもいらないといって、
しろいパンを渡した。
いちごのジャム塗る?ときいても、いらないといった。
かれは、とてもいちずに、
しろいぱんをたべたかった。
◯
薄めに出した、台湾のロンジン(龍井という中国緑茶)を
薄い飲み口のうえがひろがったカップにそそぎ
ゆっくりと味わいながら
わたしは、昨日実家でもらった、ナフコで買った、
きなこの団子を二本フライパンにのせた。
しばらくあたためたけど、
噛み切れないくらい硬くて、そんなに美味しいものではなかった。
ほいくえんに行く前に、マリオの歌をいっしょに歌おうか、
ときくと
よろこんで、しろいぱんを完食して、
かたくて食べ残したわたしのきなこの団子も、全部平らげてから
マリオのうたと、パジャマスクのうたと、ロボカーポリのうたを3曲うたって、
次はジョニーがいい
と4曲目に季節外れの桑田をリクエストしてくるので、
「じょにーは保育園おわってからね」
と言って、でかけるじゅんびをした。
たくさんけんかをして、たくさん話して、
たくさんあそんで、たくさん笑えれば
わたしたちはいつも、
ふたりこのちいさな家で
しあわせだ。
ほいくえんにはまた遅刻した。
ちこくの理由は、
やっぱり、寝坊だろうか?
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