子育て

わたしはタータンになりたい

06/01/2018

2017年7月のきろく(ふたりきりのがいこく)

 

 

 

着いて1日目の夜

疲れと時差ボケと
苛立ちで

そのまま死んだようにベッドにもぐりこんだ。

 

冬の外国で
肌寒い部屋の中

息子と2人きり

大きなベッドの中で抱き合うと

その重みとか温度は、
日本にいるときには

感じたことのないような、温もりだった。

 

普段、
別々の部屋で寝て

私はいつも

息子よりコンピュータに向かっている時間の方が多くて

たくさん話ができるようになった3歳と

ちゃんと
話なんて

したことなかったなあと、ふと思う

 

 

寒い冬に、抱き合える体温は
とても
心地よく

彼もまた
全身を躍らせて

気持ちよさそうに
笑っていた。

 

 

普段、一刻も早く寝てもらうことしか
考えたことがなかったけれど

 

ふたりきりのがいこく、せっかくなので

何か、

 

話してみようかなと思って

 

「たおくんはさ、

大きくなったら何になるの?」

 

と初めて聞いてみた。

 

 

そうしたら、

すぐに、

 

 

「たおくんは、ノンタンになりたい」

と彼は言った。

 

 

わたしは、

子育ての苦労という苦労を
ほとんどしたことがないくらい

母親業だけは
気楽に

「何もしない」

を貫いてここまで来て

息子のことを、なにも知らなかった。

 

 

 

こんなにも何も知らなくて、

何も知らないのに
愛おしいって

すごいことだなあ。

 

 

「ママは?」

とすぐに訊かれて、

 

え、と一瞬戸惑って

わたしはオトナになったら
何になりたいんだっけ

 

考えようとして

 

 

 

「どうしようかな」

と言うと、

 

 

「タータンは?」

 

 

とすぐに彼が、
提案してくれたので

「ママはタータンがいいな」

と言った。

 

 

 

ノンタンには、
耳のきこえない妹、タータンがいる。

 

 

わたしは生まれる前から

きっと、ずっと

 

彼にとっての

タータンだ。

 

 

 

 


ふたり同じベッドに
眠って起きたら、

 

次の日のお昼を過ぎていた。

 

 

 

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