暗がりに、そのエプロンの後ろ姿は
保育園のせんせいだと思った
自転車で通り過ぎて、後ろを振り返ってこんばんは
と大きな声をかけた。
暗くてお互いの顔は全く見えないけど、
「ともこ先生ですよね!?たおの!」
と言ったら、
「たお君のお母さん!」
と覚えていてくれた。
年少さんの前に通っていたちいさな保育園
変なビルの一階にあって
小さくて
運動場も庭園もなにもない場所だったけど
わたしはそこがとてもすきで
先生みんなにとてもよくしてもらった。
唯一ひとりだけ
名前を覚えていた先生がいて
それがともこ先生だった。
どうして覚えていたかというと、おしゃれな中年のひとで、わたしが当時毎回h&mでたおの服を買っていたのに
一回靴下どこで買ったんですか?と訊かれて、答えたこと。
あとは、まだ話ができなかった小さなたおが、
先生のことを
ポポコしぇんしぇい
と呼んでいたのが
とてもとてもかわいくて、
ポポコしぇんしぇい
って誰だろう
ってきいたら、ともこせんせいのことだったから。
だから覚えてた。
わたしは日本の保育園がすごくきらいだったけど、いつも外国のほうが自由でいいと
ヘソを曲げていたから
でもそうじゃなくて
みんなが優しくしてくれたこと
わたしがちっとも子育てをしなかった脇で
愛をかけてくれた全てのひとのこと
大好きだったと
思い出した夜
一瞬一瞬を
丁寧に大切にしたいなと思った
きっと遅すぎることはないから
もう一度
ゆっくり愛していこう
日々
目の前のこと
ひと
いい匂いな一日だった。
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