いつか、深夜、彼に
尋ねられたことがあった
「俺だけを、ずっと見ていてくれるのか?」
と。
それは、”他の男ではなくて自分を選んでくれるのか?”
という意味ではなかったと思う。
わたしという女の人生全てを、そのままよこせ。
という意味だったと思う。
仕事も夢も自分さえ、何もかも捨てて
それでも俺を、見る覚悟があるか?
そういう意味。
普段品良く「僕」と呼ぶ彼の海が荒れて
「俺」に変わるとき。
わたしは、何もかも全てを彼に持って行かれても構わない、と思う。
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