電話で目が醒めるなんて、いったいどのくらいぶりのことだろう、と思うくらいに、優しい朝になった。昨日まいが、自分の愛を世界に拡げる、と決めてから寝付けない夜だった。
一日中ヒーリングをしていた2日間。潤からあるはずの連絡がなくて、何度でも絶望して不安になって、苦しんだ。
でもとにかく自分を確立してかなければと切り替えることができて、そんな朝の携帯には「潤」と表示された。
電話が鳴る時点で、潤が落ち着いているのがわかる。
というかは今朝ようやく気づいたけど、そのくらい余裕がないと、電話をかけることは難しい、ということでもある。
わたしたちは、車で5時間かけて会いにいき、ようやく電話が繋がるような、そのくらい連絡が苦手な関係で、最初は意味がわからなかったけど。
潤の声は、片手間の忙しい時にかかると、何を話しているのかついていけなくて、混乱する。
そして潤はきっとそれを知っていて、自分を整えてからわたしに繋がろうとしてくれてる。
わたしもまた、タオ君が外モードで話しかけてくるときに、何を言ってるのか全然話が通じなくてパニックを起こすところから、【自分の世界を守る】ということを練習していて、それが簡単になれば、タオ君や潤も、わたしが怒っていたり無視しようとしているわけじゃなくて、ただ「通じるスピードや話し方」のようなものがあるのだ、と理解してくれるようになる気がした。
苦しかった2日間が、一瞬で融けていくような時間。
予定が変わり、家に戻り、今からコインランドリーに行くと言いながら、必要なことをやりとりした。25日以降に潤がいる日時がきちんとわかるように、また調整しようねと伝える時に、慌てたり、不安がったりおかしくなるそぶりもなくて、わたしも彼も、緊張しながらも、会える日に波が立たぬように、おそるおそる丁寧に、その日を大事にしているような、そんな気持ちがした。
前のように、言い寄って詰めて、自分も苦手な日程調整をするのではなくて
そこだけは、ゆうさんに助けてもらう。
そして、お互いそれが苦手なんだよねっていうことをわかりながら工夫できるように。
これまで潤と会ったりしたのは本当に数回程度で、でも何年もの間お互いを待ち続け焦がれ続け、年に数回電話が鳴るか鳴らないかの関係で、それでも彼の、温度や感触や、声が震えるその音のことを、きっとふたりとも忘れることは1日たりともなかったと思う。
その感触は、もう2度と出会えないかもしれないと思えば思うほど、鮮明に記憶に残るようになって、毎日あたりまえに会っていて、どんな顔だったっけと思うような関係では起こり得ないくらいに、確かなものになった。
そして実際にその声が、耳の奥のほうに深く響くと、身体の芯から優しく震えて共鳴して、まるでふたりで一緒に音楽を奏でるか、一緒に歌を歌っているかと思うような、そんな声だと思った。
ただ内容や言語の情報のやりとりをする会話じゃなくて
「確認」するような、そんなやりとりを
朝一番からできることの、幸せと
この瞬間をずっと、ずっと長年待っていたと感じるような
これからわたしたちは、一緒に生きてゆける
確信に、変わってく。
もう、大丈夫だ。
ゆらぎながら、不安になりながら、途切れそうになりながら、つないでいける。