見上げるとそこに見ゆるは
月
ぽてぽてと
首をもたげながら ぽてぽてと
夜道を歩いた。
そして
最後に彼をみたのはいつだったかと
思い返すと
遥かさかのぼって
たぶん2がつのあたまくらい
4ヶ月以上もの間
もしかすると
毎日わたしのことを見ていたかもしれない
彼は
4ヶ月以上ぶりくらいに
わたしを
ほんのり照らして
わたしは
軽く会釈をした。
彼みたいに
何も言わずに黙ってわたしを守り続ける
そんな地味で凛とした美しさと勇気を
分けてもらえるように。
そして
その4ヶ月以上
彼のことを一瞬たりとも思い出すことができなかった自分へ
すこしがっかりしながら
上海にも
ちゃんと居てくれるんだねと
すこしあんしんしながら
もう忘れないよと
そう思いながら
ぽてぽてと
彼が見えなくなるまで
首をひねって振り返りながら
ぽてぽてと
あるいた。