外国での暮らし

世界中の全員死ぬ日

08/13/2009

無秩序な美しさも、確かにあるとは思う。

段階的に感じられる推移は、肌に馴染み季節というものを
殊に感じさせてはくれるけれど、ともかくランダムにやってくる一日一日の変化に
いちいち反応しては、噛み締める。

むせかえる程の熱を抱えた夜の24時間後には
あの独特の切なさを漂わせる肌寒い夜の匂いを嗅ぐとか。

世界中の全員を、好きで居たいと強く思う日が続くなかで、
世界中の全員死ねばいいのにと思う日も月に一度くらいはある。

あー、セカイ中全員死んでわたしも死ねばいいなあと
とりあえずなにもかもがどうでもいい感じになるのもまた愛おしさがある。
ニューヨークの夏は、意外にも暑く、そして寒く、完全に秋の色と、
少しだけ日本の匂いと、情緒は皆無、
あとはアイス屋さんの車のメロディがどこからかいつも、鳴り響いている。
初めてこの地で過ごす夏は、懐かしささえ覚えて、去年日本にいた私にも
今ここにいる私にも毎年変わりなく訪れてくれることが嬉しい。
寝苦しい夜が続いて、一人で眠る練習もして、窓を開け、見えない月を見上げる。

好きなように、生きている。腹が立ったら、シゴトなんてほっぽって家に帰った。

もうやりたくないと思ったら、やめたし、アイスを食べたきゃ食べている。
何もしないという窮極の贅沢な時間の使い方と、何も考えないという
最高の賢さを身につけはじめた私は、ほとんど洩れなく笑っている。

逢いたい人は山ほどいて、相変わらず風通しは抜群で、羽まで生えてしまったところで
今の心配は遂に鳥になってしまわないかどうかということだけ。

暖かい。
暖かい夏。
ゆらゆら、暖かい夏の中で揺れる。

とりあえず、世界中の全員死ぬ日がやってくるときは、
最後にとりのこされるなんてまっぴらゴメンなので、真っ先に私が死んでくれれば
嬉しい。

 

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