たまにはそう
エッチな気分になるときもあって
たまにはそう
エッチな気分になるときもあって
そんなときはめをとじて
恋しいあなたの首から腰のあたりまで
つうっと身体の輪郭をひとさしゆびで辿ってみたりして
うつくしいあなたのその手が
くうきを挟んだごとくやさしくやさしくわたしのせなかを包む
ひとのからだっていうのは
こんなにも混じりけなしにピュアで
こんなにも心地がよいものだったのかと
おしえてくれたのはあなたで
ヒトの波のなかはじめてふたり並んであるいたそのとき
ふっとわたしの腕にふれた瞬間
ぞくっとするほどかすかでそしてやわらかい感触が
印象的だったのをよくおぼえている
まだあなたのことをなにひとつ知る前のはなし
あなたがわたしのからだにふれるとき
それはくものなかをふわふわういている綿菓子くらいに
あまあまでそれはそれはゆめごこち
おとこのひととおんなのひとが一緒にねむること
長い間わたしはそれを
あまりきれいなものではない気がしていて
なんだかそこにはけっして明るみに曝してはいけないような
さまざまなものが存在して
悲しみとか罪がかさなってゆくことばかりおそれてきた気がするけれど
それをあなたはひっくりかえして
わたしにぴかぴかで
とてもうつくしい自然のなかの原理と
どれくらいに神聖なものかってことに気づかせてくれた
あなたがまたいなくなって何日かたって
わたしはひとりでベッドに眠り
よく眠れない日はキッチンのソファーでぼんやりすごしたり
そうたまにエッチな気分になるときもあって
そんなときはめをとじて
恋しいあなたのすべてを
あたまのてっぺんからつまさきまで想像して
つうっと指でなぞったあとは
ゆめのなかで気がすむまでやさしく触れてもらうわ
1000回のキスを、
今夜も。