いのち ジャパン 皐月 陽のさしこむ窓をキッチンから見るのは なるほど確かに気持がよくて 敬虔さがひろがる5月のダイヤモンドの真下で 真っ暗な顔してふさぎ込み しくしく泣いているのは、誰だろう。 そう。 ワタシだった。 切り込みを入れ始めるだけで この身体をつんざくように清々しく薫る 5月のセロリが 風通しのいい場所限定で濁りをすべて洗い流す 耳を塞いでひたすら待ってみても コク […]… 05/05/2008
いのち 経験 冒険家のもそくん わたしには彼の気持がわかってしまうから だれが何と言おうと バカで頭が悪かろうと 相方と比較され続けたって ちょっともそくんのほうがデブだねとか ちょっともそくんのほうが臭いねとか ポピーは美人なのにねとか 誰が何と言おうと 未知の世界が見たい。 2年前の雨の日 やっぱり玄関を抜け出して 冒険に出たのはもそくんだった 心配して心配して探しても出てこずに 丸一日経った後 びしょぬれにな […]… 05/02/2008
いのち 経験 A wake じいさんが死んだ。 おとといの夜さぶかったから 凍えたじいさんは 昨日の朝病院に運ばれて死んだ あっといまに家に帰ってきたじいさんは 畳の部屋にもっかい眠って うすっぺらい白い布団と 肩にドライアイスの塊 そんなんじゃさぶいから 胸に置かれた刀の上から厚い掛け布団をかけた 昨日の朝死んだじいさんは 昨日一日待ってみて 昨日一日「じいさん生き返ったか」と聞いてみたが 生き返らなかった […]… 12/08/2007
いのち かぞく すきなもの 写真 19才になる手前 クラブでナンパされて知り合った彼氏は フォトグラファーだった はじめて触ったカメラは 彼のニコンの当時のフラグシップ機 まだまだ銀塩が主流で ずっしり重い本体のなかから カシャンとシャッターが下りたその鈍い音が、 わたしの写真の道に引きずりこんだ。 おじさんに混じってカメラ屋に通いつめ 全部のカメラのシャッター音を 何度も何度も聞き比べて […]… 12/07/2007
いのち 外国での暮らし 経験 子猫 手のひらに乗るほどの子猫 小さくてまだ生まれて何日もたっていないだろう子猫 フアイハイルーと シーザンルーの おおきいおおきい交差点の脇に続く その歩道のど真ん中 わたしの手のひらと同じくらいの ちいさなちいさな子猫 びしょぬれに濡れて まるくうずくまって その小さな顔がみえない 高いヒールの くるぶしで結ぶ紐が解けてわたしは […]… 07/05/2007