あさおきて、7じくらいに息子のベッドの部屋のドアをひらくと、 そこには、静かににこにこ座っている もうじき2歳になる男児がいる。 何時に起きたのか、 それはぜんぜんわからなくて、 いつからそこで静かに待っていたのか わたしには本当にわからないのだが ただ、ただ 「ありがとう」 が洩れる カーテンを開け […]…
1歳9ヶ月の息子が、最近「あー」と歌を歌い始めた。 踊ったり、歌ったりすること それは、教わって覚えるものではなかった。 いつか、音楽に合わせて体を揺らしはじめた 小さな小さなクリーチャーを見て、 わたしは 「踊る」が人間の遺伝子に 始めから組み込まれていたことを知る。 2014年11月の日記より たとえば、わたしたちは、 いつから、笑えるようになったのだろうか。 すべての母親にとってそうであるよ […]…
たとえば、わたしたちは、いつから、笑えるようになったのだろうか。 すべての母親にとってそうであるように、わたしもまた、 いままで自分のなかにあった「あたりまえ」が 根底からくずされてゆく毎日を送っている。 たとえば、わたしは、にんげんというものは、嬉しければ自然と笑みがこぼれるし、 眠くなれば勝手に眠ると、そう、 思い込んでいた。 でも、実際は、産まれたばかりのそのいきものは、 一ヶ […]…
なんだか、とても、長い夢を見ているような気がする。 どこからが、現実で、どこまでが、夢か、 たまに、わからなく、なる。 どちらがどちらでも、 大してかわりはないのかも、と、おもう。 たとえば今体験しているすべてのことは、 妊娠したことや、こどもを産んだことや、 ここで出会った人々や、 辛かった数週間のことや、 衝撃的に美しい夕暮れの空のグラデーションや、 屋根から伝う冬の雨音の優しさのことは、 す […]…
あの本の結末はどうなったんだっけかとか その映画の主人公はさいご最後幸せになったんだっけかとか なんだか思いだせない事がおおすぎて そして思いだせない事がふえつづけてゆく日々 季節感を完全に見失った7月のある日 木枯らしの吹く南半球にて 目を閉じて 何か忘れてしまった大切なことに 想いを馳せる しあわせな午後 だいすきなひとびとの顔を描きながら タビを続けていると ふと小さいニンゲンがビクッと動く […]…
あなたは、 そのような、 もっともうつくしいきせつのなかに、 うまれてくるのでしょうね。 ゆきは、 いつものように、 世界のすべてのよごれを すいとってはまいおりて、 すいとっては また 天へとかえってゆく しずけさだけを そこにおいて スペースをつくり、風をよびこむ あたらしいきせつに、 むかってゆくのです。…