ニューヨーク、時々元恋人 恋と恋の狭間にいる自分が、とても好きだ。 それはほとんど恋しか知らない自分が、何かに本当に打ち込んでいるときにだけ 稀に偶然起こる、砂の中に混じった砂金みたいに 凛と目立つ。 淡々としていて、冷たくて、それでいて、恋を追いかけているその感じ。 ちょうどそれは、月曜日に似ている感じがする。 …
あの日のったぎゅうぎゅうづめのタクシーのことは、よく覚えてる。 確か、横にブライアンが乗っていて、反対の横にはもうひとり手伝いにきてくれた誰かが乗っていて、 その足で新しいアパートに行ったんだった。 ブライアンはそのまま自分の国へ行ったんだっけ? 一回くらいスウェーデンに行っても良かったかなって思ったけど そのときは、セックスを一生し続けられる相手が良かったのよね。 一回だけ抱かれてみたけど、あん […]…
だからいつでもそんな気分になるのは、仕方がないことだっていうのを、 いい加減知らなければいけない。 イタリア人の彼と、クイーンズボロのアパートの窓から見たあの煌々とした明け方の月を、忘れることができないまま、 私は、またタイムトラベルに出たまま永遠に道に迷うのだ。 空の上で、いったりきたりする時間を早送りしたり巻き戻りしたりしながら 到着したのは自分の生まれ育った国だった。 でも、わ […]…
彼は、すごく悲しかったみたいだった。 それがわかったのは、別れてずっとずっとあとになってからのことだった。 気丈で、明るかった。 いつも安定していて、わたしが常にボロボロでも、 彼だけはいつも、しっかりと立って、そこに笑っていて、 なんでもないように見えたから。 男の人は、みんなそうなのかな。 彼女や奥さんに、そういう悲しいとか寂しいことは言わずにみんな、 生きてるんだろうか? もし […]…