外国での暮らし 恋 長い帰り道 ここは中国で わたしは日本人で あなたはもうすぐイスラエルで へたくそな中国語は聞き飽きた 無意味なフランス語は淡い差し色みたいに私たちを彩って 易しい英語を選ぶあなたの優しさで私は満たされて ひとつづつ増える私の大切な日本語を挟んで並び歩き 胸を押さえて祝い囁く今夜のヘブライ語 言葉というのは何て 尊くて美しくて私たちを繋ぐ橋で糸 手ぶらの帰り道 携帯も財布ももってな […]… 09/14/2007
外国での暮らし 恋 ひとりのよる こうしたひとりの醍醐味は たくさんのひとのなかの自分と たくさんのひとのなかでさがす君の顔 こうしたひとりの醍醐味は ひとりでかえる帰り道と 目を閉じておもう君の顔 わたしが楽しい夜を過ごしたならば 君の楽しい夜を祈る そしてまた ふたりの夜に ふたりぶんのひとりの夜を交換しあう ねむるまでふたりぶんの体温を感じて おきた時にふたりぶんの光を共有する 夢で会えるように […]… 09/14/2007
外国での暮らし 経験 刹那 外国という場所で過ごしていると実に 刹那の極みみたいな瞬間に立ち会うことが多い 今というその時間達は 今しかそこにいなくて ほらもう今じゃなくてさっきに さっきが気づいたら 遥か彼方へ流されて そのなかで学ぶことは多い 儚い美しさをどれだけ感じて追いかけて抱きしめられるか いつだって いつだって真剣勝負 選ぶ瞬間の刹那も 結果訪れた刹那も 焦ることではなく大切に抱きしめることを胸に抱 […]… 09/02/2007
外国での暮らし 恋 満月の夜 満月の夜はもしかすると 空から全員に素敵な夜を届けるのかもしれない 深夜2時 家に帰ると大好きな彼が言った 「綺麗な夜だったよほんとうに」 私も負けじと 「私も。今夜はとっても素敵だったよ。」 最近知り合った彼女に誘われて行った先は まだひっそりとと佇むだけのうんとうんと素敵な場所 民家の間をぬけた奥には別世界が広がって オープンしたての未完成なビストロは […]… 08/29/2007
外国での暮らし 続く夜道の先 気づいたら ここは中国だった 歩いても歩いても どこまで歩いても ここは中国だった。 数時間とおくのほうへ進んだらもしかして ぱっと日本だったりするのかしらと 思いながら ずんずん進んで どんどん遠くへ いつまでたっても 中国だった。 見慣れた道と風景は もう外国にいるなんて新鮮さはなく 右も左もただの日常で 同じ顔の中 私の顔も同じアジアで だれひとり私 […]… 08/16/2007
しぜん 外国での暮らし ナツ 潔いほどの ナツ せんたくものが2時間で乾ききる 思わず3回せんたくきを廻す土曜日の朝 からだにまとわりつく熱の塊 ここまでくると激しく気持ちいいほどに 潔いナツ 窓を全開にして今日は 外の音にまけないくらい大きく音楽を聴いて 何ヶ月かまえから時計は止まったままで 動かない秒針にすら気づかぬまま盤を眺めていた もう7月も後半 ナツのど真ん中だったことを知る […]… 07/21/2007