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外国での暮らし

外国での暮らし

夏が来て僕等

  雲ひとつない、青空だった。 強いひかりに、ブルーのTシャツは飛び込んだ。 安心する顔に、小さな声で、挨拶をした。 そのひとを、恋しく思った。 大好きな場所にいた。 夜は、眠れなかった。 あるひとが、教えてくれた。洋食やを営むお母さんが おいしくなあれと魔法をかけたごはんは、本当に美味しくなるんだ、と。 オーダーは、入らなかった。 ずっと、外の陽気を感じていた。 料理は、あまり、楽しく […]…

03/02/2017
すきなもの 外国での暮らし

冬のアクアリウム

(2011年10月26日の記録より)     冬がきて 温度が下がり 身体のなかや 頭のなかも 低く鈍い流れに 徐々に応化してくるのを 感じる 10月の終わり   冬の冷たい水族館のことを 夢にまでみるほど常々 焦がれるような思いで 切望し続けていた そこには 何があるわけでもない   にわかな興奮は きっと一瞬のできごとで そのあとは 夏の熱気を失った 混 […]…

03/02/2017
外国での暮らし

A stifling beautiful summer

2013年5月22日の記録より     日本は、いつまでたっても、息苦しく、そして 美しい国だなあと、 羽田に降り立った瞬間におもう。   毎年、毎年、訪れる度に、違うところに目がいく わたしにとって、故郷であり、外国だ。   東京の市内の、雑然として狭苦しい景観の醜悪さに もうがっかりすることもなくなって、 秩序のなかで徹底してルールを守る人々に、何度も驚 […]…

03/02/2017
外国での暮らし

こぼしてきたやさしさ

やさしさを 砂粒みたいなやさしさを ガラスの瓶の割れ目から全部こぼしてしまったから 中身は空っぽになって 空っぽになって初めて ピンクの砂の路が後ろに続いていることに気づく   もう一度ガラスは温かい色に染まるだろうか まずは割れた瓶をなおせるのだろうか とりかえしは つくだろうか そうしたら もう一度本物の光に出会えるだろうか   どうしてもあの奇跡のようなやさしさが 忘れら […]…

02/21/2017
外国での暮らし

充電器は、机の引き出しの、3段目。

  電話口の向こうで、 彼はつぶやく。   「カメラの電池なくなって、 充電どこにあるかわからんしそのままやねん。」     ◯ わたしと彼は、一年とすこしの間一緒に暮らしていて、 彼は私がいないと 靴下がどこにあるのかもわからないような人だということは、良くわかっていた。 一緒に暮らす男女間において、とても、よくあるハナシだ。 私はそれを、いきがいのように […]…

02/08/2017
外国での暮らし 経験

Vanishing

出会い、旅立ち。 そのありふれた現象のなかで、 いかに自分が[今]から足を踏み外して生きているかを知る。   同じ場所に居続ければ居続けるほど、 そこにあるものが、あたりまえにそこにあるものになってゆく。   毎日目にしていつでも手に入れられると思っているものは 当然いつまでも手に入れられるわけではなく 電話をしたら いつでも話を聞いてくれる大好きな友達は いつの日か 別の国で […]…

07/12/2015