雲ひとつない、青空だった。 強いひかりに、ブルーのTシャツは飛び込んだ。 安心する顔に、小さな声で、挨拶をした。 そのひとを、恋しく思った。 大好きな場所にいた。 夜は、眠れなかった。 あるひとが、教えてくれた。洋食やを営むお母さんが おいしくなあれと魔法をかけたごはんは、本当に美味しくなるんだ、と。 オーダーは、入らなかった。 ずっと、外の陽気を感じていた。 料理は、あまり、楽しく […]…
2013年5月22日の記録より 日本は、いつまでたっても、息苦しく、そして 美しい国だなあと、 羽田に降り立った瞬間におもう。 毎年、毎年、訪れる度に、違うところに目がいく わたしにとって、故郷であり、外国だ。 東京の市内の、雑然として狭苦しい景観の醜悪さに もうがっかりすることもなくなって、 秩序のなかで徹底してルールを守る人々に、何度も驚 […]…
やさしさを 砂粒みたいなやさしさを ガラスの瓶の割れ目から全部こぼしてしまったから 中身は空っぽになって 空っぽになって初めて ピンクの砂の路が後ろに続いていることに気づく もう一度ガラスは温かい色に染まるだろうか まずは割れた瓶をなおせるのだろうか とりかえしは つくだろうか そうしたら もう一度本物の光に出会えるだろうか どうしてもあの奇跡のようなやさしさが 忘れら […]…
電話口の向こうで、 彼はつぶやく。 「カメラの電池なくなって、 充電どこにあるかわからんしそのままやねん。」 ◯ わたしと彼は、一年とすこしの間一緒に暮らしていて、 彼は私がいないと 靴下がどこにあるのかもわからないような人だということは、良くわかっていた。 一緒に暮らす男女間において、とても、よくあるハナシだ。 私はそれを、いきがいのように […]…