夢の中で 走りまわって 彼を捜した 見つけて ようやく 彼の腕の中で 心ゆくまで 抱かれた。 それは優しくて 甘くて 初めて 言葉を介さずに 感じる彼の 体温 電話越しに喋らずに じっとうつむくわたしに 笑わなくてもいいし 喋らなくてもいいし 泣いてうつむくだけで それで十分だからな そう言って 黙ってわたしを感じてくれた彼のことが 大好きだったから 言葉のいらない距離で 彼を感じることが こんな […]…
だからいつでもそんな気分になるのは、仕方がないことだっていうのを、 いい加減知らなければいけない。 イタリア人の彼と、クイーンズボロのアパートの窓から見たあの煌々とした明け方の月を、忘れることができないまま、 私は、またタイムトラベルに出たまま永遠に道に迷うのだ。 空の上で、いったりきたりする時間を早送りしたり巻き戻りしたりしながら 到着したのは自分の生まれ育った国だった。 でも、わ […]…
冬に近づく。 吐く息はいつのまにか白く ぐっと心を静にせざるを得なくなる。 無に、真に、透明に近づけば近づくほどみえるものはあって さすがに冬という季節がもつ 計り知れない神々しい深みと高みに圧倒されてしまう。 わたしはその前でこうして足を踏ん張って 「お願いだから」とひれ伏して どうかわたしをその真っ白な流れのなかに くわえてもらえるように 身を任せてやっとの思いで その季節の ち […]…
彼は、すごく悲しかったみたいだった。 それがわかったのは、別れてずっとずっとあとになってからのことだった。 気丈で、明るかった。 いつも安定していて、わたしが常にボロボロでも、 彼だけはいつも、しっかりと立って、そこに笑っていて、 なんでもないように見えたから。 男の人は、みんなそうなのかな。 彼女や奥さんに、そういう悲しいとか寂しいことは言わずにみんな、 生きてるんだろうか? もし […]…




