あの本の結末はどうなったんだっけかとか その映画の主人公はさいご最後幸せになったんだっけかとか なんだか思いだせない事がおおすぎて そして思いだせない事がふえつづけてゆく日々 季節感を完全に見失った7月のある日 木枯らしの吹く南半球にて 目を閉じて 何か忘れてしまった大切なことに 想いを馳せる しあわせな午後 だいすきなひとびとの顔を描きながら タビを続けていると ふと小さいニンゲンがビクッと動く […]…
2014年6月9日、午前11時49分、Taoは、この世界に産まれてきた。 2014年6月9日、午前11時49分、そしてわたしは、母となった。 産まれて数日たって、あるとき、風が吹いている、と感じて、 わたしと、タオが、そして、風そのものになっているのだ、と感じた。 舵をとるのは、まちがいなく、タオで、 わたしはそれにならって、 びゅんびゅんと潔いスピードに乗っていた。 つよくて、とう […]…
電気とかガスとかが日常の現代に生まれ落ちて31年。 まもなく、小さな次世代が同じく生まれ落ちようとしている。 そんな瞬間に、わたしは「火」と共に生きるという体験をしている。 朝5時に起きて、ぐっと冷え込んだ秋冬の5月、ニュージーランド。 まずは、「火」を起こすことから、全てがはじまる。 湯を沸かすも、身体をあたためるも、おおむかし、ひとは、「火」でおこなっていた。 そんなあたりまえのことを、実際に […]…
4月末まで瞑想へいき、それはそれはすばらしい体験を終えて、 友人宅にしばらくお世話になり、そして出産場所となる ホームステイ先に移って 身のまわりを整えて必要な手続きやらなにやらで 慌ただしく日は捲られる 予定日まであと10日 最後の最後まで、せっせと巣作りをする、母鳥のきもち。 すべてが慣れないあたらしい環境のなかで、準備に追われる まわりは空と、緑と、羊と、時々人と […]…
おなかが大きくなって さいごの、ひとり旅 わたしは台湾にいる。 鳥のさえずる声と、 窓から差し込む陽のひかりで目覚める恩恵。 太陽の恵みのこととか、 うっそうと茂る緑色の大地をひらひらと舞う白い蝶のこととか、 乾燥機ではなく外で洗濯物を干すという贅沢とか、 蛇口をひねればすぐに暖かいお湯が出てくる発明とか どこもかしこも清潔な厠 […]…
台湾人は、やっぱり、底抜けに親切だった。 台湾という場所は、とても不思議だ。 町はまだまだ汚く、道はバイクで溢れかえっていて、騒音も排気ガスも尋常じゃなく、 忙しそうで、とても人々に余裕があるようには見えない。 どうしてこんな喧噪のなかで、誰かの声に耳を傾けるこころのゆとりが出来るのだろうと 不思議に思えるほど、驚くほど、ひとは、優しい。 道をきけば、「知りません、お役に立てずごめんなさい」とさっ […]…
